9/5  私がページを作る中で何としてでも描きたかった絵がコレ。
ウエディング美樹原さん
今出せる力は全て出し切ったつもりです。

この絵を見て、何かを感じて頂ければ、こんなに嬉しいことはありません。


そしてAMIさんが、この絵を見てSSを作ってくれました。
 


九月の花嫁



 「私…、幸せです…」

  薔薇をあしらったウェディングドレスに身を包んだ愛がささやく。上気した、晴れやかな顔。
 まっすぐな視線。愛する人と結ばれる喜びを全身に表すその姿に、
 かつての男性恐怖症と云われた少女の面影は今はない。
 美樹原愛、今日、俺の花嫁になる最愛の女性。

 「美樹原さん…いや、愛」

  二人の身体が自然に引き寄せ合う。そして唇が……

  ガチャン!

 「あらあら、お邪魔だったかしら」

 「詩織…」

 「詩織ちゃん」

 「まったく、あと30分でお式が始まるっているのに、どっかのエロマンガみたいにさかっちゃって」

 「エロ…って詩織、おまえ!」

 「うふふふ、誰かさんがたくさん持ってたもんねぇ」

 (こいつ、やっぱ知ってやがったのか。時々、本の並びが変わってると思ったが……
  頭のいい詩織のことだ、俺に気づかせるためにわざとやってたんだろうな)

  俺たちの甘いひとときを邪魔しに来たのは藤崎詩織。俺の幼なじみにして、愛の親友。
 しっぽの先が尖ってる気もするんだけど、俺たちのキューピッドってところかな。
 そいでもって俺の初恋の相手でもある。
 高校に入った頃までは俺の心の中を占めていたのはこいつだった。
  それが、いつからだろう、俺の視線は詩織ではなく、
 いつもその横にいる小柄な少女の方を向くようになったのは?

  高校1年のヴァレンタイン、詩織に付き添われて、真っ赤になって差し出してきたチョコレートの包み。
 ホワイトディのお義理のお返しをこっちが恐縮するぐらい感激して喜んでくれた。 

  高校2年の春、体育祭のフォークダンスで初めて握った小さな柔らかな手。
 詩織を交えて3人で遊んだ高校2年の夏休み。

  そして秋、ありったけの勇気を振り絞り、まるで決闘を申し込むような必死の形相で誘ってきた動物園。
 初めての二人きりのデート。

  季節が巡り、距離を置くようになった詩織。俺の気持ちが動いたことを知ったからなのか。
 数ヶ月後、詩織が再び俺たちの間に入ってきたとき、
 二人の間は淡い想いを抱き合っていた幼なじみ同士から仲の良い旧友に変わっていた。

 「メグ、きれいよ。ほんとうに、うらやましいぐらい」

 「詩織ちゃん…ありがとう…ごめんね……ありがとう…ごめんね」

  涙をあふれさせる愛。知っていたんだ。当たり前か。あんなにも二人のそばにいたんだから。
 小さな胸を痛めて泣いた夜もあったろう。俺の知らないところで二人の葛藤もあったろう。

 「バカね、お化粧が台無しよ」

  そっと涙を拭ってやる詩織。彼女が自分の気持ちを話してくれたのは、きらめき高校の卒業式翌日、
 俺が愛の告白を受け入れた後だった。それが詩織なりのけじめだったのだろう。

 「ゴメンね、詩織ちゃん。あたし知ってたの、詩織ちゃんの、気持ち。でも、負けたくなった。
  詩織ちゃんにでも、譲れなかったの、この恋だけは」

「正々堂々勝負してメグが勝ったんじゃない。この藤崎詩織さまに黒星をつけたんだから
 二人で幸せにならないと承知しないゾ」

 「うん」

 「当たり前だろ」

 「私…、幸せです…。大切な旦那さまがいて、大好きな親友が見守ってくれるんですもの」



 そして、伝説が始まる。

(作 : AMIさん)